昭和54年機械工学科卒 行正 隆俊
2026年1月21日記
■ 古本市の魅力

古本市へ行くと、紙の匂いとともに少しだけ時間が巻き戻せて過去に厚みを持てるような感覚があります。
若い頃に買い損ねた本、子どもの頃に夢中になった雑誌、過去から今の世情を見直し考えさせてくれる本──今を見直せる時間が現れる瞬間があるから、私は今も古本市の魅力に寄せられています。
■ 古書市に広がる多彩な世界

大阪近辺だけでも四天王寺、下鴨神社、神戸さんちか、百万遍知恩寺など、季節ごとに古書市が開かれます(HP「日本の古本屋」の「古本まつりにいこう」のコーナーに古本市の日時、場所などの情報があります)。並んでいる本は宗教、ミリタリー、芸能、鉄道、オーディオ、小説など多岐にわたり、雑誌『太陽』『平凡』や昔のアイドル誌まで揃います。ビジネス本も出ます。単行本や文庫本、新書も多いです。会場ごとに個性があり、同じ古書市でも毎回違う出会いがあります。
■ 失われた本との再会

古書市の醍醐味は、欲しかったけど買い損ねた、また忘れていた本に再び出会えることです。私自身、8年近く探してようやく見つけたオーディオ本や、技術者を志すきっかけになった小学生の頃初めて買った模型雑誌(写真)に再会したことがあります。『模型と工作』や『鉄道模型趣味』を開くと、白ボール紙で電車を作る記事や、フォーミュラカーの自作など、今では考えられない“手作りの時代”の熱気が蘇ります。
■ ネットでは辿り着けない一冊
Amazonで何でも買える時代ですが、工学系の専門書は実際に手に取らないと分からないことが多いものです。中々専門書が古書市に出ることは少ないですが、古くても今も古書として出てくるような本では、著者の独自の視点や珍しい計算式が載っていることがあり、そうした“紙の中の知恵”は古書市でこそ見つかります。リンクの伝達効率や歯車の伝達効率の計算など知らなかった計算法や考えが書かれた本を見つけた時はうれしかったですが、さらに驚いたのは、著者が多賀高等工業高校卒の方だったことです(「エンジニアのための応用機械工学」、沢畠孝成)。
■おわりに
古本市に行って、本を見る時は、気を付けないと本の背表紙を見ていて酔ってしまうことがあるので少し離れて見ていくこと。また興味ある本を見つけたらまず手に取ることが大切で、その場でよく考えて購入の可否を決めることです。他の人に取られると、この世に1冊しかない本が2度と入手できなくなるかもしれません。
注意することは、古本にはまると頭の中が浮世離れすることがあることです。世相を書いた本など読むと頭がその本の時代に行ってしまうことがあります。ご注意を!!





